2025年06月22日
「放下著」

毎月行っている坐禅会での昨夜の法話は「放下著」でした。
「ほうげじゃく」と読みます。
放下は投げ出してしまうこと。著はその言葉を強調する言葉。
つまり「投げ出してまえ!」と強く言い放った言葉。
ある修行者が高僧に自分の悟りを認めてもらおうとしたときに言われた言葉。
悟りなど捨ててしまえ!
というようにも聞こえる。
得た、と思う気持ちを捨てる。
思い込みを捨てる。思い込みを捨てた、と思う心を捨てる。
私の好きな言葉の一つ。
捨てられないものにしがみついている自分を見つめる言葉として。
この字は足利紫山老師が100歳の頃書かれたものらしい。
紫山老師は興津の清見寺で出家し、浜松の奥山方広寺の管長にまでなられた高僧。
その高僧が100歳にして「放下著」と書かれた。
その言葉はこれを見る方に向けてでもあるが、自分にも向けたものであろうと推察する。
数十年前、紫山老師の徳にあやかりたいと方広寺を参拝させてもらった。
その紫山老師が今、自分の近くに縁があったなどとは思いもよらなかった。
鳥肌が立つ思い。